話題の「ビエネッタ」カップ版を食べていたら
- 2024.01.12
- 小ネタ集

2024年1月2日、「ビエネッタ」のカップ版がセブンイレブンで限定発売され話題だ。
サーティーワンの「ナッツトゥーユー」、ハーゲンダッツの「マカダミアナッツ」と並び、世界3大うまいアイスとして僕の心の中に君臨し続けるビエネッタ。
おそらくこれまで食べてきたビエネッタの外箱を縦に積み上げれば、そこら辺のビル群はゆうに超える高さになる(だろう)。
それぐらい僕はビエネッタを愛してきた。
幼少時代からの高嶺の花であり、風呂上がりの一番の贅沢品でもあったビエネッタ。
そんなビエネッタが1人用サイズになって話題を呼んでいるともなれば飛びつかないわけがない。
早速、セブンイレブンで買ってきた。
値段は237円。ビエネッタの価値を考えれば案外安いなと思った。
蓋を開けてまず注目していただきたいのはその美しい造形だ。
1983年から実に40年以上も愛され続ける国民的アイスクリームのビエネッタをカップに落とし込むなんて!
リトルチキンハートの僕だったら、そんな一大プロジェクトにアサインされた瞬間に恐ろしくて夜も眠れない。
しかし森永乳業の社員さんたちは見事なカップ捌きでビエネッタの新しい地図を完成させてのけたのだ。
まるでバラ模様を思わせるそのフォルムと立体感。
僕たちがビエネッタに求めているチョコのパリパリ食感はそのままに、
美しい層が下から上まで緻密な計算のもとに折り重ねられている。
カップの内部、どこをすくってみても隙は見当たらない。バニラアイスのリッチな味わいも全く同じだ。
スプーンの上で対峙するその姿はまさに、憧れのビエネッタの表情そのままだった。
僕は嬉しかった。
ビエネッタがより身近になった気がして、スプーンを持つその手は固く握りしめられていた。
ところが、食べ終える2スプーン前くらいだろうか、
なにか嫌な予感がした。違和感がそこにはあった。
僕たちは本当に「ビエネッタ」を食べていたのか
新しいビエネッタの姿は理想形でもありとても優秀だ。
昔みたいにチョコとバニラでテーブルを汚すこともなければ、
明日に残すビエネッタを袋に収納する手間もない。
チョコまみれのスプーン(或いはフォーク)をテーブルに置きっぱなしにしてお母さんに怒られることもなくなる。
さて、それでいいのだろうか
僕の中のビエネッタはやっぱりこの茶色のシートさえもチョコに見えてきてかぶりつきたくなる愛おしい姿であってほしいし、
「あと1山分だけいいよな・・・明日の俺はどう言ってる?」と、
カロリーという絶対神と掛け合いながら、その日の取り分を一生懸命に計算して思考の往復運動をしていたい。
ビエネッタを食べるというのは僕にとっては小さい頃から積み重ねてきた「リズム」であり、
その周りにはいつも、みんなで贅沢品のビエネッタに食らいつく幸せみたいなものがあった。
その行動様式すべてをもってしてビエネッタだったのかもしれない。
僕たちは一体、ビエネッタの何を食べていたのだろうか
新しいビエネッタが僕たちに大きな「問い」のきっかけをくれた。
高いお金を払って緊張感をもって寿司を食べに行く、
子供たちと、愛する家族と慣れ親しんだスシローに行く。
「寿司」を共通言語にその2つの体験は全く異なるものだが、一概には優劣は付けれない。
どちらも素晴らしい体験であり人生の大切な思い出だ。
熊本の食を通してたくさんの方に「食べるって本当に幸せだよね」というのを届けたい一心で綴っている当ブログではあるが、
幸せの尺度、物事の判断基準は人それぞれであり、
その多様性を受け入れられるバランス感覚こそが、令和の時代を幸せに生きていくための必須スキルではないかと思う。
大切なのは相手を思うこと。
1人でも多くのビエネッタファン、ビエネッターの裾野を広げるためにはカップ版は素晴らしい選択肢だと思う。
2024年は思いやりをもって、龍のように力強く天高く進んでいきたい。
ゆこうビエネッタとその先へ。