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最新の「仮面ライダー」ショウがすごい

最新の「仮面ライダー」ショウがすごい

僕は普段からあまり涙を流さない。

 

別に強がっているわけでもないし、なんなら人目を気にすることなくバスタオルくらいの大きさで我を忘れて泣いてみたい、感情を揺さぶられて昔みたいに、とも思う。

 

「はじめてのおつかい」を観ながら、まだ自分の感情をもうまく言葉にできない子供たちが、初めて芽生えた「お母さん、お父さんを助けたい」という一心で街に繰り出し、石ころにつまずきながらも、そのひたむきな姿で自らの殻を破っていく姿を見ながら、

 

僕はいつもと変わらない表情でテレビを見つめている。

 

仮面ライダー ショー

その姿を見た家族は、きっとこの人は感情をどこかに置き忘れてきたんだわと鉄仮面扱いしているに違いない。

 

そんな僕にも、自分の中に1つだけ涙が流れる「トリガー」があることに気がついた。

 

それはスポーツ観戦だ。

 

しかも状況は少し特異で、プレーしている選手たちではなく、応援している会場の方に心を動かされるのだ。

 

会場全体が一体となってチームを応援している、今この瞬間は全員が同じ方向を向いて、ただひたすらに自らの愛するチームに声援を送り続けている。

 

その声に応えるかのように選手は躍動しスコアは動き出していく。

 

こんなに皆が応援してくれているんだ…。

 

会場を見渡しながら、その一部分になれた気がして自然と涙が溢れてくる…。

 

そっと、その涙が頬に伝わらないように僕は空を見上げる。

 

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先日、熊本で開催された仮面ライダーショウに行ってきた

仮面ライダー

もう何年ぶりだろうか、三井グリーンランドで見たのを最後に30年ぶりくらいかもしれない。最新の仮面ライダーショウのチケットを取って見に行くことになった。

 

年明けのシアーズホーム夢ホールにはたくさんの仮面ライダーファンたちが集い、熱気に包まれていた。

 

それにしても最新の仮面ライダーショウは凄い。

 

何がすごいって、一切の滞りなく、参加者全員の満足度をしっかりと押さえる運営力だ。

 

1時間も前から開場したかと思えば、仮面ライダーと直接グータッチが出来るチケットを求めて多くの人が列をなす。

 

そのグッズを買った人のみがショウの最後に憧れの仮面ライダーに会うことができるのだが、

 

1,500席あるホールは一瞬にして埋まり、グータッチ券も早々に完売だ。

 

やっぱり完売になるんだ。買っておいてよかった、奮発してよかったと親たちはそっと胸をなでおろす。

 

仮面ライダー

何を起こすか分からないヤンチャ盛りの子供たちを大勢巻き込んでおきながら、

 

開場から最後の退場まで全てをスムーズにコントロールするその「仕切り」には全国を行脚するプロフェッショナルの力を見た。本当に凄い。

 

そしていよいよショウが始まった。

 

大まかなストーリーは端折らせてもらうが、「錬金術師」をテーマに、

 

仮面ライダーたち一行は巨大な力を持つ「秘宝」探しに出かける。

 

仲間との出会いや様々な困難を乗り越え、ついに辿り着いた光り輝くその石を前に

 

とんでもなく強いラスボスが現れる。

 

このラスボスが無慈悲なほどに強い。

 

最新のラスボスは、もはやトゲトゲした怪獣の形はしていない。

 

掴み所がないくらいにツルッと真っ白で細身、それでいて表情がない仏様のような姿だ。

 

そのあまりにも冷徹で、状況を一瞬にして覆していく巨大な力を前に、仮面ライダーたちは全く歯が立たない。会場内にはどんよりと暗い影が差す。

 

仮面ライダー

あぁ、そういえばこんな感じの人が前の会社にもいたなぁと、会社員時代の無慈悲で正論ばかりを振りかざしてくる人の顔を思い浮かべていたそのときだった、

 

 

 

子供たちからどこからともなく頑張れの声が沸き起こりはじめたのだ

 

 

 

がんばれ

 

 

がんばれー!!

 

 

仮面ライダーー!あぁぁぁああ

 

 

 

一部の席から始まった「がんばれ」は一瞬にして会場全体に広がり、1階から2階、そしてホールの天井を突き破るんじゃないかという巨大なパワーとなってステージ上に漂っていた暗雲を押し返していく。

 

子供たちの心の底から仮面ライダーの反撃を信じ、喉がなくなるんじゃないかくらいの勢いで応援する姿は、本当に綺麗で心を打たれた。

 

ほどなくして、息を吹き返した仮面ライダー会心の一撃により真っ白なラスボスは滅びた。会場全体で掴み取った勝利だった。

 

子供の付き添い程度のある種の「タスク」くらいの気持ちで参加した仮面ライダーショウだが、

 

こんなに濃くて熱い気持ちにさせてくれるとは思ってもみなかった。僕がしまい込んでいた大切な何かを見たような気がした。これで3,700円か。その価値は計り知れないなと思った。

 

最後にグータッチをしてくれたのは懐かしの初代・仮面ライダーだ。

 

その手は温かく、力強かった。

 

仮面ライダーの熱狂を胸に、いつものように元気よく街に駆け出していく子供たち。

 

僕はふいに空を見上げた。

 

僕だけの仮面ライダーが少しだけ戻ってきたような気がした。

 

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