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人生で初めてお金を払って似顔絵を描いてもらったときのお話

人生で初めてお金を払って似顔絵を描いてもらったときのお話

自分は絵が上手な人への憧れが人一倍強い。

 

先日、とあるイベントで似顔絵を描いてもらった。

 

世の中には様々なイラストが存在するが、僕はシンプルなものや、太い線だけで描かれたようなゆるーくて抽象的なイラストが好きだ。

 

いつかはプロフィール用のイラストを誰かに描いてもらって、なんなら少し気持ち悪いけどiPhoneの壁紙にでも設定できるくらいの可愛いものが欲しいと思っていた。

 

そんな矢先、ついに出会ってしまったのだ。

 

とあるイベント会場で一際輝いているイラストレーターさんを発見してしまったのだ。

 

小さなテーブルを置き、たくさんの作品やステッカー類を所狭しと広げ、iPadで絵を描きながら販売会をしているイラストレーターさん。

 

そのどれもが可愛くてセンス溢れるものばかりで一瞬にして心を奪われた。

こんなに可愛いイラストは久しぶりに出会ったんじゃないかってくらいに輝いていた。

 

色使いも、構図の切り取り方も、大胆だけどまとまりのある作風も、全てが “今風” というか洗練されている。

シンプルなのに作品としてしっかり成り立つ力は素人目に見ても明らかだ。

 

そしてなんと今日はこの人が1,500円で似顔絵を描いてくれるというのだ。

 

たったの1,500円で、これだけの才能に溢れたイラストレーターさんが僕の似顔絵を描いてくれる。それはもう興奮を抑えきれない。

 

いや実は、それでも少しばかり悩んで辺りをうろちょろしては、本当に描いてもらうかどうかを最後まで熟考した。

 

いかんせん似顔絵にお金を払うという経験が初めてなもので、なぜか躊躇してしまう自分がいたのだ。

でもここで描いてもらわねば、後から相当な後悔が押し寄せてくるのは明らかだったので、僕は勢いに任せて1,500円を渡した。

 

憧れ続けてきたイラスト欲はここで沈めておこうと決断したのだ。

 

 

 

 

さて、そのイラストレーターさんはやはり人気なのだろう、ブースには先客がおり、いったんiPhoneで顔写真を撮影し、それを元に描いてくれることになった。なんとも現代的だ。

 

ここで捕らえられた顔次第ではイラストの出来栄えに大きく影響してしまうんじゃないかと、いつにも増して力が入る僕に、

 

「表情はそんなに影響しないので大丈夫ですよニッコリ」

 

とイラストレーターさんは優しく声をかけてくれる。

 

好きになってもいいのかな?一瞬そんな横しまな気持ちさえ沸き起こった。

そしてそれに応えるように僕は自分史上最高のふんわりイラスト顔を作って応じた。

 

 

 

そんなこんなで、一通りのやりとりを交わした後、意外にも10分も経たないうちに似顔絵が完成してきた。想定だと20-30分は待つつもりだったのでかなり早い仕上がりだ。

 

 

おっ、結構早いですね。と言ったか言わんかったかは覚えてない。

それよりも、目の前にチラッと現れたiPadの画面上になんともゆるーい男性のイラストが描かれているのが少しずつ目に入ってきた。

 

 

おっ、

 

 

おっ、

 

 

 

 

 

イエスなのか、ノーなのか、その出来栄えに判断がつかず、一瞬固まってしまった。

いやこれは可愛いんだろう、客観的に見た自分はきっとこうなんだろうと。

 

半ば強引に1500円を払った自分を正当化させようと何度もiPadを見返してはその作品を受け入れようと試みた。

“今風” の画家さんが描いてくれた自分はこういう姿なのだと細部までしっかりと覗き込んでみた。

 

 

 

やはり何度見てもその絵はトーマスのようだった。

 

 

けんさむ

KENSOMEと書かれた文字だけがこの絵の唯一のアイデンティティであり、救いだ。

これが無ければ絶妙に感情を押し殺す機関車トーマスのようだ。

 

色は何色だろうか?

 

青は永久欠番だし、緑も埋まっている。僕の好きな黄色のトーマスだったら嬉しいな。

ちょっと地味めの朱色でもいい。

そうだ笑っておくれよ「ようこそ」と言って笑って迎えておくれよトップハムハット卿よ。

 

これが今日から携帯の待ち受けになるのか、いやならない。なるはずがない。むしろ誰やと。ここに描かれてるのは誰やと。

 

イラストレーターさんは何も悪くないし、

もちろん僕の心が只ならぬ不安定状態に入っていることを知る由もなく、

流れるようにしてエアドロップを使ったデータのやりとりを案内してくれている。

 

気がつけば携帯のデータフォルダに誰だか分からない人の似顔絵がばっちり保存されていた。

 

いや、いっすねー!かわいっすねー!ひゃっふー!

 

明後日の方向を向いた言葉でイラストレーターさんと最後のやりとりを交わし、僕はそっと携帯をしまい込んだ。

 

もっと多くを払えばよかったのか、いや表情が硬かったのか。

むしろ自分が求めていた絵とは何だったのか。人のせいにするのは、もうやめよう。

 

 

 

小雨が降りしきる中、僕は背中を丸めて家路についた。

 

 

 

イラスト探しの旅はまだまだ続きそうだ。

 

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