【徒然シリーズ】けんさむのちょっと小話「病院」
- 2017.12.01
- 小ネタ集

先日、子供に突発性の湿疹が出たので、病院に行くことにした。
連休中で、近くの小児科はどこも外来を受け付けていない状況だったため、休み中でもやっている大きめの病院に行くことになった。
そこは大型の病院で、エントランスから待ち合いまでとても広い病院だった。中にはカフェやコンビニも入っており、待合室の天井もIKEAかよと突っ込まずにはいられないほどに高かった。高すぎた。
私と妻は受付を済ませ、受付前のベンチで名前が呼ばれるのを待っていた。
特にやることもないので、iPhoneに目をやると、Googleマップに病院の情報が載っていた。
そうだ、ここに来るまでにiPhoneをナビ代わりにして画面がそのままになっていたのだった。
私はふとGoogleマップに表示された病院のレビューが目に入ったので、覗いてみることにした。
ご存知の方も多いかもしれないが、Googleに書かれている病院などのレビューは、ネガティブなものを含む場合が多い。
この病院のレビューも同じような様子だった。
ひと通り病院への妬み・憎しみを読み終えた後、私はそのことを話題に妻と会話をしていた。
すると、それまで静かにしていた子供が狂ったかのように突如叫び始めたのだ。
「やぶいしゃ?やぶいしゃって?やぶいしゃってなに?!」
おそらく我が子は今、最もこの場所にふさわしくない言葉をなぜかピンポイントで拾って、それを叫び続けていると私は本能的に感じた。
小声で止めにかかろうとするが、子供も私の焦りように気がついたのか、さらに語気を強め、面白がって連呼する。
「やぶいしゃ〜」「やぶいしゃ〜」「ハハハハハハ」
高すぎる天井はコンサートホールかと勘違いするほどに共鳴していた。
そこには陽気なヤブ医者音頭がこだましていた。
私は子供を抱きかかえ、買いたくもないジャーマンドックを買いにその場を後にした。