「レインボーカリー」という、とあるキッチンカーの話をします
- 2025.11.10
- グルメ
先日、一通のメッセージが読者様から届いた。
『けんさむさんが閉店して悲しいって言っていた唐吉さん(熊本市北区)がカレーのキッチンカーになってますよ』
__まさか、あの唐吉(からきち)が
全ての作業を停止して僕はその店名を検索した。
「レインボーカリー」
鮮やかな虹色の絵文字にレインボーカリーの文字。カリーはカレーじゃなくカリーだ。本当にその名で1台のキッチンカーが存在した。
お店のSNSには出店場所とスケジュールが載っていたので、確認してすぐさま僕は走り出した。
あの唐吉なのか
本当にあの唐吉なのだろうか
キッチンカーを見つけた

本当に思いつきと脊髄反射のような動きで家を出てきてしまったが、よくよく考えると僕は唐吉の店主とは話したことも顔を合わせたこともない。
いつもレジのお兄さんに唐揚げ弁当か唐揚げ単品をオーダーして「うまいソース」を追加で購入するだけだった。


まだ営業開始時間のすぐだったこともあって他にお客さんはいない。店主とその奥様らしき人が慌ただしそうに仕込みをしていた。
「すみません、本格スパイスチキンカレーを1つください」
久しぶりに会う旧友と待ち合わせをしているときのような、少しだけ緊張した面持ちでカレーを1つ注文した。
奥様の明るい接客で1,100円を渡してカレーの出来上がりを待つ。

店先にはこだわりのポイントが掲示されていて、なるほど、レインボーカリーのカレーはこうやって作られているのかと目を通す。
グルテンフリーに自家製の発酵チャツネ
出汁となる部分には玉葱発酵ブイヨンときた。

丁寧に妥協なく作られているこの料理の感じと、飾らないスタイル。そこには僕が好きだった唐吉に似たものがあった。
もしかしたら本当に唐吉の店主なのかもしれない。でも違ったらどうしようという迷いもあってなかなか踏み出せずにいたが、
急に降りてきた「聞かなきゃ後悔するよスイッチ」が僕の背中を押してくれた。
「ここって、唐吉さんですか?」
なんの前置きもなく唐突に投げかけてしまった質問に一瞬だけ間が空いたが、店主が驚いた表情を見せながら振り向いてくれた。
『はい。そうです唐吉をやっていました。でもどうしてそれを?』
僕がお店のファンでよく通っていたこと、読者の方にレインボーカリーの存在を教えてもらって今ここにいること、それを伝えると店主も僕のことを知ってくださっていた。
どうやら唐吉は色々な理由があって辞めざるをえなかったそうだ。詳しい理由は特に聞かないことにした。
その代わりに新しいカレーの話をたくさんした。
唐吉があれほど美味しかった理由は店主の思いがたくさん詰まっているからであった。そしてこのレインボーカリーもまた、製法にも食材にも一切の妥協を許さない店主のカレー熱が注ぎ込まれた一杯だった。
これが本格スパイスチキンカレーだ

と、ここまで話が長くなってしまったがレインボーカリーのカレーを実食していこうと思う。

一体何層になっているのか分からないほどに色鮮やかなスパイスカレーの見た目はまさにレインボーそのものだ


カレーを一口食べてみると
フルーティーと旨味のパラダイスがそこには広がっていた
単にフルーツを感じるだけではない。その甘味にスパイスの具合が絶妙に絡み合っている。

めちゃくちゃ美味いではないか

スパイスカレーは数年前に大阪発で流行して以来、様々なカレー店が登場したが、
その中には使用するスパイスの数にこだわりすぎて収拾がつかないカレーも多数存在していた。それほどうまいカレーを作るって難しいんだなとも感じさせてくれた。

しかしながらレインボーカリーのカレーにはクセがほとんど無い。

ブイヨンで出汁をとって旨味を追求しているからだろうか、旨味と甘味のバランスが素晴らしい。

そして食べ進めていくに連れ、周辺のたまねぎやアチャールを巻き込んで酸味が加わっていく。

食べ終わる頃には身も心もレインボーカラーになってこの表情である。

教えてくださった読者様ありがとうございました。
そして是非、このキッチンカーを見つけた際には皆さんもお試しください。

出店スケジュール等はお店のインスタグラムをどうぞ。
それではまた。

